河出書房新社 「井村雅代 不屈の魂」

河出書房新社 井村雅代 不屈の魂

「不屈の魂」という言葉はいろんな本で使われる言葉である。
しかし、この方の人生を見ると本当によく似あう言葉であることが分かりました。

不屈の魂で語られるエピソードの多くは、自身が上り調子である(もしくはその途上である)ときに、外部の力でその梯子を外されてしまう。常人であれば落ち込んでそれまでとなってしまうが、そこで諦めるのではなく新しい自分の目標を作って、新しい挑戦を始める。

自分の中で、この不屈ランキングでトップに君臨し続けているのは、日本プロレスを追い出されたアントニオ猪木だ。井村さんの場合は猪木ほどの強烈さはないものの、何度も不屈でないと立ち直れない状況に追い込まれて、さらにそこから本当に不屈の魂で立ち上がっている。まさに不屈の回数が常人とはかけ離れている。

そして、こうした不屈の魂はその存在だけでは長続きしない。不屈になるのか挫折で終わるのか、その分かれ道になるのが周囲に支援する人が存在するかどうかである。幸運とも思えるが、その幸運を引き寄せる自身の力と日頃の努力がいかに大切か?この本はそれを教えてくれる。「厳しさ=礼儀知らず or わがまま」のようにいわれる人もいるが、周囲に支援する人が発生または存在するということはその人にそれだけの人徳があるといことで、この本にも書かれているとおり、井村さんという人は本当に義理に厚く、礼節にたけた人であることがよくわかる。

不屈でいられるのは、窮地に追い込まれても挑戦し続けることができる人間力。
支えようという気持ちに周囲の人を思わせる人徳。
この二つがないと成立しないようだ。

中国に行っても自説を曲げず。プライドの塊のような国家協会役員にも「金メダルは無理」と言い切る勇気。今までメダルを取ったこともないチームをプレッシャーのかかる自国開催のオリンピックで銅メダルに導く実行力。
メダルを取り続けるために、採点方法の先を読み、選手の特性を見極めて演技内容を変えていく。先を読む力も常人をはるかに上回っていることがよくわかった。

指導の厳しさは様々なところで紹介されているが、厳しく指導した教え子が結果を残したのちに井村さんのところにまず駆け寄る。日本でも中国でも同じ。
現役の時には、一番叱られた回数が多いと語る教え子が、現役引退後にコーチとして井村さんをサポートしている。
「厳しい指導をしてもこの人なら結果を出してくれる」と感じさせるリーダーシップ。今の日本で一番欠けているリーダーシップだと思う。それを古いものという人もいるが、こうして結果を残しているということは現代に十分通用するものであることは事実である。

本書の中で「もういいんじゃないかと妥協する自分と戦うのが何よりもつらい」という言葉が出てくるが、自分にとってはこの言葉が一番響いた。
自分は妥協の産物だから。。。

実は、
この本を買ったのは自分の中で疑問に思っていることが書かれているかと思ったからでした。

井村さんが辞めたとたんに世界で勝てなくなってしまった日本、
井村さんがいなくてもリオ五輪では日本よりも成績の良かった中国。

この差はいったいどこから来るのか?というもの。
残念ながら明確な回答はこの本には書かれていなかったが、自分なりの憶測も付いたので大変ありがたい本でした。

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